戦争、そして震災で多くの方が亡くなりました。多くの家屋が倒壊しました。この世は無常です。どれだけ幸せな毎日を望んだとしても、どれだけ平和な日常を望んだとしても、人の思いだけではどうしようもできない、時として、儚い現実が唐突に襲ってきます。それは当時だけの話ではありません。今から約2500年前のお釈迦様の時代でも、約800年前の親鸞聖人の時代でも、約500年前の蓮如上人の時代でも、約60年前の戦後の時代でも、そして現代でも、それは変わりません。「生老病死」の苦しみから、私たちはどうしても逃れることができません。
しかし、時代を超えて、「なんまんだぶ」と念仏を繰り返しながら、この無常の世界を、変わらぬ仏の慈悲の呼び声を聞きながら、生きていった人々がいます。16両の荷車に運ばれる天狗門の周りには、無数の人の口から溢れる、たった一つのお念仏がこだまします。